2025年8月30日土曜日

関心領域

アウシュビッツの収容所の塀の隣の豪邸に住む収容所の所長とその家族の物語である。

残酷なシーンは一切なく、あえて言えば、遥か向こうに立ち上がる煙と、
その壁の向こうから聞こえてくる音にその残虐性が表現されているのみである。

# 川に流れてくる、、、という表現もあったか。

所長の転籍の話が出て、それが栄転と分かっていても、
その居心地のいい家からの転居を拒む妻。

彼女の“関心領域”は、塀のこちらの家と庭園だけなのだ。

しかし、あのホロコーストも、その作業に従事している人たちも
それは、ある種従順に従っていただけに過ぎないのか?

いや、戦争というものは、そういうものなのかもしれない。
いざ始まってしまえば、そもそも人を殺すことが戦争の作業なのだから。

けど、他人を責められないのかもしれない。
そもそも関心領域は、自分の知らないうちに決められてしまうのかもしれないし。

さまざまな思いが溢れてくる実に示唆に富んだ映画であった。


P.S

今も地球上では、戦争が止まない。

関心領域が狭ければ、
結局、こういった映画も物語も、他山の石でしかないのかもしれない。



2025年8月28日木曜日

あなたは、誰かの大切な人

こんなタイトルの本を見つけたら、読まざるを得ないでしょ。

原田マハ作

中は、6編の短編からなる。

特徴としては、主人公がすべて独身のいわゆる大人の女性である。

そして普通のサラリーマンというよりは、もっと自由なフリーランス的な職業で。

もっともその為にみんなそれぞれの生活や過去を持っているわけですが、
ちょっと平均的よりも高めの人たちばかりであったりもする。

でもまぁ人は10人いれば10種の人生があるわけで、
そう思えば、彼女たちが特別な、、、というわけでもなかろう。

人は、きっと一人ではない。

# たとえ、今この瞬間が独りであっても。

そして、他者との関係がきっとある、
いろいろな関係があろう。いい関係とは限らないこともあろう。

けれど、自分はやはり優しくありたいな。

そんな気分にさせてくれた一冊でありました。


P.S

きっとこんなエピソードは、誰もが持っているわけで。

ただ、そんな放っておいたら埋もれてしまいそうな出来事、思いが

この本を読んだ人は思い出せたらいいな、、、そんなことを思ったりも。







2025年8月26日火曜日

木製ジャングルジム

私の行っている子ども食堂に突然現れた木製構造物。

「これなに?」

って尋ねたら、

「特に意味ないです。」

と言われた。

いわゆる小さな子供の遊び場のようなもので、
ジャングルジムのようなものなんだろうな。

結構、子ども達は上に上がったり下りたり楽しそうである。

いやなに思い出すのは、私が高校生の頃のこと。

当時は、超貧乏で3畳と4畳半二間の古いアパートに祖母と二人で住んでいた。

ちゃぶ台で勉強するにも落ち着かず、
この建造物のようなもの(ひと回り小さなもの)を押し入れの中に作って、
私は、そこで勉強していたものである。

上にはスピーカーをぶら下げて、音楽も聴けた。

秘密基地のようでもあったけれど、押し入れの外では祖母はテレビを見ていたし、
とにかくひとりになるための工夫であった。

けれど、今から思えば、押し入れの中とはいえ、平気で太い釘を使い
勝手にこんなものを作ったりして、今じゃ許されないよなぁ、、、。

50年も前のことでした。

写真でも撮っておけばよかったとツクヅク。


P.S

手作りジャングルジム、、、

子供が怪我したりして大きな問題が発生しないことを密かに祈ってます。







2025年8月24日日曜日

娼年

原作3冊を読み切ったので、やっぱり映画も観ておくか、、、レンタル。

しかし、この映画を先に観たらきっと原作を読む気にならなかっただろうな。

原作から味わえるある種のロマンやイメージは、それを現実な画にしてしまうと、

どうしてこんなに暗いドロドロ感満載になってしまうのだろう、などとつくづく。

いや、原作の方が現実のドロドロを綺麗な文で表現しただけでしょう、って感じになるのか?

ま、とりあえず松坂桃李くん、お疲れさまでした。

コトの発端がこの映画の予告編で桃李くんが目に入ったおかげで
原作の方は、桃李くんのイメージで読まさせていただきました。

なかなかそれは正解であったような気もします。

結論としましては、この「娼年」に関しては、原作を読みましょう。

映画は、おススメしません。

以上。



P.S

往々にして、原作を読むと、映画がつまらなくなるパターンが多い。

であれば、映画の予告編をチラッと見て原作を読む。

このスタイルは、結構正解かもしれないぞ。

けど、映画の配役のイメージで原作を読むことは、原作者の思いとは裏腹なんでしょうが。

そもそも、その映画のキャスティングが自分なりに合っていれば、ってことですが。

原作と映画が両方存在している時の先にどっちに出会うかって、ホントにムズい。





2025年8月22日金曜日

三元号の500円玉


小銭を探して何気に財布の中をまさぐっていたら
なんと三元号の500円玉があったので記念撮影。

左から、令和、平成、昭和であります。

500円玉も進化しているんだろうなぁ、とは想像つくけれど、

それは、なにの為?

目が悪くても手触りでわかりやすくするため?

であれば、納得できるけれど、

偽造しにくくして偽造防止の為?ってのは、私は理解に苦しむな。

だって、一番偽造し易いのを偽造しちゃうんじゃないの?
新硬貨発行後、旧硬貨は使えない状態にしないと、意味ないんじゃない?

などと、思ったりもして。

きっと、新硬貨発行には、もっと深い意味があるのかもしれない、、、な。

浅はかで、すみません。



P.S

で、どれも価値は同じそうなので、使っちゃいます。

けど、どーせ使うなら、世に流通させるなら、新硬貨の方がいいのかな?

などと、また不毛な思考の散歩が始まったりする、、、。




2025年8月20日水曜日

試験管で朝顔


報告であります。

今年は、試験管でアサガオを育ててみた。
要は、土がなくても水と養分さえあれば、花を咲かせられるか?がテーマであります。

ま、本音を書けば、部屋の中でアサガオが楽しめるか?であります。
というのも部屋の中に土を持ち込みたくなかったからね。

# 虫が湧くのもヤだし。

さて、ジャム瓶の中で僅かな水とアサガオの種を入れ、たまに振って数日後、無事発芽。

# 2回ほど水は交換しました。

で、今度はストローに入れて根を伸ばして。
 本葉が出た頃から、ストローをやめて、、、
ペットボトルのキャップを付けて、支え棒を追加して、、、

やっぱり土に撒いた種よりは全然育ちが遅いけれど、
少しづつ少しづつ育ってゆくのは見ていて楽しい。

何しろ部屋の中で楽しめてるからね。

蕾が付くかなぁ、と期待してたら、超小さな蕾がついて、

、、、そして、、、咲きましたぁ!小さな花が。
 
大成功です。

いやぁ何だかちょっと可哀想な気もしたけれど、目標達成です。

でもって、更に、種が取れるかなぁ、、、きっと無理だな。

と思っていたけれど、種も付きましたぁ!

開けてみたら3粒。

いやぁ、もう大成功です。

来年は、この種から、土で立派に育つか挑戦してみようと思っています。



P.S

しかし、アサガオって、一日しか咲かないんですよね。

頑張った割には、花を楽しむ時間が超短い、、、けれど、、、

いいえ、植物って、育ってゆく過程が楽しいんですよ!

でも、もう試験管でのアサガオ飼育は、辞めます。

外で土でいっぱい咲くアサガオと比べたら、
なんだかあまりにも不憫でした。

ごめんな、アサガオくんへ。





2025年8月18日月曜日

陪審員2番


本編が終わった時、

「え~、ここで終わっちゃうのぉ?」

と声が出た瞬間、画面に現れたのは、クリント・イーストウッドの名前だった。

あ~彼の作品だったのかぁ。
もっと最後を覚悟して観なきゃいけなかったんだぁ。

# あとの祭りである。

それにしても身につまされる物語であった。

主人公である陪審員2番の心の葛藤、、、

それを自分に置き換えたら、、、もう悩む悩む、ワタシでも、きっと。

こんなに重い内容じゃなくても、この類のことはきっと誰もが経験しているはずだ。
だから、ついついこの主役に同情してしまう。

その葛藤、ツラいよね、ツラいよね、、、と他人事のように思ってしまう。
いや、他人事のように思い込もうとしている自分がいる。

ん~、実に苦しい映画でありました。

結論も何も出ないけれど、こういったことを見せつけてくる映画って、、、
きっと、好きと嫌いに大きく分かれる気がするな。


P.S

たまには、その手のノリで、最後スカッとする物語も作ってよ。

クリント・イーストウッド様へ。






2025年8月16日土曜日

一番お金がかかる趣味


ネットで流れてきた、、、

一番お金がかかる趣味は、、、「貯金」

なるほどなぁ。

この趣味に陥ると、とにかくお金が使いづらくなる。

日々の生活のレベルが低下気味になるし、
なにしろ際限がないのがツラい。

もちろん目標のものがあって、それに向かって貯金してる人もいようものだけれど、

もし、それがモノであったり買えるモノであれば、
借金やローンを考えた方がいいかも、、、ね。

# 早く手に入れられるし、

ま、もっとも貯金通帳の数字が増えてゆくのが何よりも楽しみと思えるのならば
それをア~ダコ~ダ言うつもりはありませんが。


P.S

けど、自分の葬式代、人生の後片付け代ぐらい、
後世に残しておかないとなぁ。

けど、それ以外は、あまり期待せんでくれ、息子・娘よ。





2025年8月14日木曜日

給湯器交換


母のマンションの給湯器が壊れた。

水は出るけれど、点火しない。

でもま、夏だもんな、猛暑だもんな、水シャワーで大丈夫さっ。
と、水シャワーに挑戦してみたら、思いの外冷たかった。

# いや、当然でしょ。

プールの時を思えば、、、って甘かったな。
石けんの落ちも悪いしね。

ま、15年以上も前のものであれば、しゃぁないかぁ~、

今後15年、この給湯器を使い続けることになるのだろうか?
なんて思いながらも、今晩困るでしょうが。

で、交換。15万円也。

交換と決まったら、もう廃棄。
故障原因はなに?と興味がムラムラ湧いてきて、分解してみた。

ま、私の見立てでは、故障はやっぱ電気系統だった。
防滴にするために基板は塗料でモールドされており、回路を追うのが難しく諦めた。

しかし、水、ガス、電気が絡む給湯器。

水漏れでもなく、ガス詰まりでもなく、電気系統の故障で使えなくなるって、
電気関連で生きてきた私は、ちょっと悔しい。


P.S

ガス屋さんに部屋に入ってもらったついでに、

この部屋リフォームしたらいくらになりますか?って尋ねたら、
部屋自体が売れそうな相場金額よりも高かった。

給湯器だけは新しくなったけれど、、、

最後は、どうするん?築50年のこのマンション。




2025年8月12日火曜日

RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ


RAILWAYSの三部作の一本。
他の二本は鑑賞済みで、とりあえず全部観ておくか、と。

見る順番を間違えたようだけれど、それぞれに関連性はなさそうなので、まいいっか。
泣かされるか?と期待して鑑賞開始。

今回は、富山地方鉄道でした。

けど、、、なんとも暗かったな。

# すみません、ワタシ的には。

やっぱ世界観というか価値観というか、、、古いって思えてしまう。

そんな頑固一徹なオヤジ役に、三浦友和似合わないし。

# すみません、ワタシ的には。

で、人生をやり直したい妻からの一方的な離婚届、そして、別居、、、
夫も離婚を受け入れ、結婚指輪を崖下に投げ捨て、、、

ところが、とある事件に遭遇し、お互いを確認。

再度結婚を申し込む、、、って、それ軽過ぎでしょ。

# すみません、ワタシ的には。

なんだか古いお話で軽さも感じ、
全編を通して暗さばかりを感じてしまいました。

# すみません、ワタシ的には。



P.S

新しい指輪を買う前に、
私なら、、、きっと、、、投げた指輪を探すんだろうな。

# 情けない私で、すみません。





2025年8月10日日曜日

当選 Pascoの春フェス


当たりましたぁ。

「こだわり国産おいしいものセット」

Pascoの春フェスで。
今度は、食パンに付いているシールを集めて。

サーモンやソーセージ、コンビーフの詰め合わせであります。

いやもうワインのツマミにピッタリ。
ちょっと摘まみながら、ワインをチビチビ、、、

この上ない幸せな時間であります。

しかも何がいいって、未知との遭遇感。
いつもの味じゃないことに、なんだか高級感も感じたりして。

いっただきまーす。



P.S

ちょっと値段を調べてみたら、、、

メチャ高級品じゃん!!!

Pascoさん、価格を書いておいてもらわないと、有難みが伝わらないですよっ!

# ん?わかってないのは私だけ?

後半、心していただきますっ!







2025年8月8日金曜日

ヘイトフル・エイト


2015年公開のアメリカ映画。ウエスタンもの。

たかだか10年前の映画なのに、
すごく古さを感じさせてくれているという意味では、成功してるかも。

冒頭にクエンティン・タランティーノの名前が出てきた時には、
そうだったのかー、覚悟して見なきゃな、と思ったものの
やっぱり、血しぶき飛ぶドロドロシーン多め、んー。

物語は、猛吹雪の中、避難した服飾店での出来事であります。
8人の密室劇のミステリーと言えば、それだけのこと。

最後は、そして誰もいなくなった、、、的な。

# ネタバレ書いちゃいかんでしょうが。

しかしなぁ、まぁ西部劇の時代っていえば許されてしまうの?この野蛮感。
ど~しようもないヤツらだよなぁ。

確かに、いろいろ推理や意外性も楽しめるのだけれど、んー。
やっぱ167分は、長いよ。


P.S

どうもクエンティン・タランティーノは苦手だなぁ。

なんで選んだのかなぁ、やっぱ曲目当てだったのかなぁ。

んー、思い出せません。





2025年8月6日水曜日

爽年

 
「娼年」「逝年」に続く三作目。

もう勢いで読んでしまってますわ。

「逝年」から続く「爽年」であれば、
爽やかなハッピーエンドだけかと思ってたら、
ちょっと死者が出て、哀しかった。

しかし、彼の最期もなんだか救われる感があってちょっと安心した。

それにしても(仮に小説だとしても)実にいろいろな女性がいそうなものである。
けれど、それは十人十色であって、男性だっていろいろあるわけで、きっと。

みんな違っててそれぞれでいい、一見それがどんなに変なモノであっても、
などという居直りの境地を感じてしまった読後感である。

ただただ、お互いに優しくありたいなぁ。

けど、とうとうこの二人が結びついたかぁ、と。
子供も生まれたかぁ。

この後、どんな人生を送ってゆくのかなぁ。

ある意味で、何かを超越してしまっているこの二人の今後が気にならなくもないけれど、
もはやそれは、私の興味本位でしかないんだろうな。

いやぁ、三部作、実に楽しませてもらえました。


P.S

でもって、この「爽年」が完結編なの?

発表年が

「娼年」2001年
「逝年」2008年
「爽年」2018年

「逝年」と「爽年」のインターバルが10年もあったのなら、

ここ数年内に続編が出たりしないの?

出たら、間違いなく買ってしまうだろうな。





2025年8月4日月曜日

逝年

ブックオフで買ってきました「娼年」の続編「逝年」

前作から読んできている人には想像がつくでありましょう。

誰が“逝く”のか。

予感アリアリだったものねぇ。

けれど、もう先がないのがわかったならば、自分はどんな風に過ごし、
したかったことをやりつくし、どんな最後を迎えるべきか、、、
自分にあてはめていろいろ考え直したくなったり。

それにしても、営みの表現が綺麗である。
いやらしさは全然なく、美しささえ感じてしまうのは私だけか?

更には、全編に哲学的でもあるセリフが散りばめられており、
深層的に考えさせられることが多々。

はい、一気に読めました。面白かったです。

って、まだ続きがあるんだぁ。

「爽年」、ちょっとブックオフ行ってきます。



P.S

しかし、私だったらめぐみの裏切り(?)なんてことを
簡単に許せるだろうか?
改心を信じられるだろうか?

最後の最後まで根に持っていそうで自分がヤになりますわ。






2025年8月2日土曜日

娼年

何かの折にショッキングな映画の予告編が目に入って、

ん?でも主役は松坂桃李くんが?
どんなストーリーだよ、と思いながらも、

# 単にスケベ心かも。

映画版は、何かと原作と違っているとイヤだな、と原作を手に取った。
なるほど、男性がカラダを売る仕事の物語である。

しかし、いやらしさは全く感じない、
むしろ、人間の内面にフォーカスした内容であれば、ある意味深い。

それだけに、読み終わって思うのは、

需要があって、供給があって
そもそも体を売る仕事って、何がダメなのか?

が、わからなくなりそうである。

ただ、物語の終わりは、破滅的ではあった。
けれど、そうでもしなきゃ終われないんだろうな。
そうも思ったり。

けど、続きを予感させる部分もあったりして、、、


P.S

そしたら、この続編があると知ってビックリ。

読まざるを得ないでしょうが。

「逝年」。

ちょっとブックオフへ行ってきます。