地方に住む息子から突然の電話である。
「車の中に鍵入れたまま、かけちゃったぁ。」
まだ、車トラブルの経験が少ない彼は、どうしてよいのかわからぬようである。
「JAFの会員になっちゃたらぁ~!ちょっとお金かかるけれど。
それよりも、とりあえず近くのガソリンスタンドに助けを求めたらぁ?」
所詮今すぐ駆けつけて上げられぬエリアの出来事である。まぁ他人事である。
「ん?
おぬし、試用期間中は、ガソリンスタンドで働かされているんじゃないんだっけ?」
と、我が子に思いっきりイヤミをいうのは、ここぞとチャンスを見つけたなり。
「そんな鍵のこじ開け方、まだ習ってないよ。」
「まぁ、こういうチャンスに、だんだん憶えていくだよ。」
と、長いイヤミの後、話を戻す。
そもそもこの辺のどこにガソリンスタンドがあるかわからない、と言う。
「ちょっと待て。」
そう言って、私は、コンピュータの前に座る。
「今、どこに居るのよ?」
場所を聞いて、ネット上で地図を開く。
更には、その周辺のガソリンスタンドを探す。
「あった、あった。そこから駅の方へ向かって、○○mぐらいのところ。」
「ついでに、そのガソリンスタンドの電話番号教えてよ。」
今度は、そのガソリンスタンド系列の石油会社のホームページから
そのガソリンスタンドの住所・電話番号を見つけて教える。
しかし、、、フト思った。
何気なく、たいして苦労もなく、それだけのことが出来る世の中である。
遥か昔、「プローブ捜査指令」なるドラマにすごくあこがれた。
# プローブ捜査指令についての詳細は省略。ネットででも調べてね。
カッコよかった。すごいと思った。
けれど、それから30年ほど経った今、ある意味、それに近いことが
個人レベルで簡単になされているこの現実がまたすごいとも感じる。
画面に向かって、かなりのことが出来る世の中である。
あと30年経ったら、あのドラマを抜かしてしまうんじゃないか?
そう思ったりもして。
# 残念ながら、私がそれを体験する可能性はきわめて低い。
# 私自身のハードウェアがもたない。無念である。
P.S
電話番号を調べて、息子の携帯にメールで送ろうとした時、
また、電話がかかってきた。
「窓が3cmほど開いていて、そこから棒を突っ込んで鍵を開けられた。」
私の労力、それに関連した感動は、一瞬で軽いものとなった。
おい!スタンドで働いているうちに、鍵のこじ開け方憶えとけよ!→息子へ。