2022年7月14日木曜日

醤油ジミの染み抜き


中2の夏の課題の中に“染み抜きをやってみる”というのが目に入った。

「お~、いい課題だねぇ、ちゃんとやってみなよ。」と声をかけると

「別にこれやらなくてもいいんですぅ。」と返答が。

「ダメダメちゃんとやらなきゃ。

 じゃ、先生が用意してあげるから。」

と次の日、布地と水と醤油を用意して私が手本を見せた。

「すごぉ~い!」と感動してくれた後、「自分でもやってみたいですぅ。」と。

しばらく席を離れてたら「出来たぁ!」との声が。

教育とは、こういうモノだと思うんだがな、としみじみ思うワケで。

実に、染み抜きには、強烈な想い出がある。

大学生の頃のこと、居酒屋で飲み会があった。

何人かの男女の集まりで飲んでいたのだけれど、そこに鹿児島出身の友人がとても可愛い女性を連れてきたのだ。

真っ白なブラウスを着ていたのは、鹿児島からの旅行で来ているとなれば、いわゆる余所行きの服に違いなかった。

ところがしばらく経って事件が起きた。

宴も盛り上がっていた時、醤油が一滴、彼女の真っ白なブラウスの袖に落ちたのだ。

「あ~~っ!」その瞬間、誰もが声を上げた。

みんなが「大変だっ!」という思いを共有したのは間違いない。

ところが、その後、驚くべきことが起きた。

彼女は、何気にハンカチを取り出すと、それを袖口にあてがい、コップから僅かな水を垂らすと、おしぼりでトントンと叩きだしたのだ。

すると、数分後には、すっかり醤油の跡はなくなっていた。

それは、まるで手品のようだった。

その一部始終を見ていた私たちは、ただただ「すごい、すごいっ!」って言う他なかった。

そして、私も下宿に帰ってから、いろいろ実験してみたものである。

そんな想い出。


P.S

飲み会の後、オトコ連中の意見が真っ二つに割れた。

“お嫁さんもらうなら、あんな人がいいね。”派と、

“あんなに躾がしっかりされている人は、オレはとてももらえそうもない”派と。

今となっては、染み抜きという行為は、シミを取り去る効果だけではなく、
教養をも表すものでもあるような気がするんだな。

女性だけでなく、男性も女性がそんなトラブルに遭った時に、さりげなく対処できたら 、ここぞという時にきっとお株が上がるかもよ。

洗濯に出せばいいじゃん、という世であれば、

“染み抜き”なるものは、単なる教養のバロメーターに過ぎないのかもしれませんね。

若者達よ、とりあえず醤油程度の染み抜き技術は身に付けておこう。