2023年3月30日木曜日

黒雲の下で卵をあたためる

黒雲の下で卵をあたためる

   小池昌代 著

小池昌代は、詩人であり小説家。
これは、エッセイである。

もうドップリとはまり込んで読んでしまうと、その感性と表現力に驚くばかりである。

せっかくだからごく一部を抽出して転記してしまう。

 
 
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やがて赤ん坊が、次第にあんあんと、なにごとかをしゃべりだした。

おそらく5ヵ月か6ヵ月くらいだろう。何かをさかんに言いたいのであるらしい。

その声が高い天井に響いてこだまする。

意味として固まり始める前の、泡状のことばが空間を浮遊する。

この場所でいま、自分の声を発見したとでもいうような、それは懐かしい、原初のよろこびに満ちた声であった。

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ただ赤ん坊の泣く情景を目にしながら、
こんな文章は、とても私には思いつかない。



P.S

私は、本を読む時には“ココいいな”と思うところに付箋を貼っていくのだけれど、
キリがなくなってしまって。

まぁだからこそ詩人であり小説家であるのだろうけれど、
でも、そういった感性や表現力は、どうやって習得するのだろう。

つくづく思ってしまう。

やはり生まれ持った特性を努力と訓練で磨き上げるモノなんだろうか。

もう自分がココで書いているのが恥ずかしくなります。