「....
生きてえなァ生きてえなァ。
散るのは春の桜ばかりじゃねえや、
枯れた紅葉もこれが終わりと、
おのれの終わりと知りながら
散っていきます 散りまする。
生きて生きて、
まあどう生きたかはともかくも、
それでも生きた緑の葉っぱが、
それでも生きた緑の葉っぱが、
枯れて真っ赤な紅葉に変わり、
あの樹の上から、
このどうということのない地面までの、
その僅かな旅路を潔くも散っていく、
まだまだ生きてえ、死にたくねえ、生きてえ、生きてえ、散りたくねえ、
と思って散った紅葉の方がどれだけ多くござんしょ。」
仇討ち相手にとうとう捕まり、研辰は、こうつぶやきながら
自分が切られる為の刀を一心で研ぐのである。
野田版「研辰の討たれ」 野田秀樹
P.S
紅葉を見ながら、ふと思い出したフレーズでありました。
PM 08:29:33