2005年11月30日水曜日

トニー滝谷

とある人に奨められて観賞に至った。

主演 尾形イッセー
    宮沢りえ

である。


あえて、ストーリーをちょっとだけ書く。


トニー滝谷の本当の名前は、トニー滝谷である。
イケメンでもなく、パッとしない人間がデザイナーとして素朴に働く。

そんな彼が、原稿を取りに来た女性に恋をするのである。

彼は、彼女にプロポーズする。
切々と今までのこと、彼女への想い、きっとこれからの誓いも述べたに違いない。

そして、彼と彼女は結婚する。
彼女は美しく、かわいらしく、妻としてもその働きにまったく問題はなかった。

ただ、たったひとつの問題があった。
それは、服を買い過ぎることであったのである。
彼にとっては、病的とも思われるその服の買い方に、ある日彼は彼女にやさしくそれを指摘した。
自覚もあった彼女は、そんな自分の性格を直そうともするのである。

が、突然、彼女は交通事故で逝ってしまう。

洋服用に増築した部屋いっぱいに服を残したまま、、、。
かれの落胆は、想像できよう。

そして、その後に彼がとった行動とは、、、

と、ここで書くのを辞めると、批判轟々が予想されるので、もちょっと書く。

彼は、仕事としてのサポーターを募集するのである。いわゆる秘書。
募集に際してのたった一つの条件は、妻の体型にピッタリのサイズの持ち主であることだった。

やがて彼はその採用した女性に、妻が今まで買った服を制服として着せるのである。

そして、彼の葛藤は、まだまだ続いていくのであった。

原作は、村上春樹。

私は、原作を読んでいないが、ネット上の論評では、かなり原作が忠実に再現されているようだ。

時間もいくらか短いので、洋画に食傷気味の方には、お薦めかもしれない。

# 合わない人には、合わないかもしれませんが。


けど私は思った。

素朴な人間がそれなりに真面目に生きている。
そこに人生に二回あるとも思えない事象が起きる。
それを一生懸命手に入れようとするのは、普通のことであろう。

そして、幸福にも手に入れられた。
ところが、もしそれを失ってしまったら、、、

物事をロジカルに考えていっても、回りから見れば奇異に映ることになるかもしれない。
けれどもそれは、その人が一生懸命考えた結果なのである。
何も他人が非難できることではない。

そして、物事を真剣に考えられる人間ほど、行動に幅が出るだろう。
思いも後悔も深ければ、葛藤も多いはずだ。
素朴でも真面目に生きることは、そういうことなのだ。

そんな感想を私は持った。

# うまく説明できなかったな。


P.S

私も素朴に真面目に生きている人間だと、自称思ったりもする。
彼の生き方、行動に、とても同感する部分が多かった。
彼の悲しみは深い。

しかし、人生はまだまだ続いていくのだ。