2023年1月27日金曜日

図書室の海

図書室の海 恩田陸著

10篇の短編小説から成る一冊である。

なんでこの本を読んだかと言えば、この中に以前書いた「ピクニックの準備」が含まれているからでありました。

以前、「夜のピクニック」を読んだ。映画も観た。

そうしたら、その前日譚の「ピクニックの準備」があることを知った。

そのDVDもあることを知って、レンタルして観た。

「これ、原作と違うやろ。」と確信した。

で、原作を求めて、この一冊に至ったのである。

が、なんとも複雑な思いのする本であった。

10篇の短編小説は、30分もかからず読めそうな話がほとんどである。

それぞれに関係性はない。

が、あとがきにも書かれているように、すべてがまるで映画の予告編のような話ばかりなのである。

あるいは、作家の下書き集?的な、スピンアウト的な?

物語はどれも興味をひかれる筋書きなのであるが、その割にはなんとも短い。

# 乱暴に言えば、中途半端。

だから、読み終わっても「あ~面白かったぁ。」という感想に至らない。

むしろ「何だったの?」という感想の方が強くもある。

その消化不良的な内容に、なんとも本編が読みたくなってしまう。

が、全編に本編の原作があるわけでもない。

しかし感心するのは、いろいろなジャンルのお話が書けるものだなぁ、とつくづく。

まさに恩田陸ワールドを凝縮した一冊かもしれない。


 
P.S

とんでもない本に出会ってしまったものだなぁ、とも思う。

このままじゃ、そのまま恩田陸ワールドに引きずり込まれそうな気がして。

ただでさえ読みたい本が多くて選択と集中に困っているのに、

また選択肢が増えちまったじゃんさー。