2006年7月24日月曜日

りんご

昔々、まだ私が大学生の頃の思い出であります。
 
私は、学園祭の実行委員長をやっていて。
何の為にこんな大変なことをやることになったのか、
まぁ当時の大学生のことですから、損も得も考えずに実行するのが若者の本分でしょう。
 
# なんてね。
 
その日も徹夜明けでした。
若者の無鉄砲さと体力にもの言わせて、、、
まぁカッコよく言えば青春だな。アハ。

そんな徹夜明けで大学内を歩いていると、向こうからクラスメートの女性が紙袋を抱えて歩いてきました。
私は、工学部電気工学科。その女性は、私の学年80人の中のたった一人の女性でした。
北海道出身の素朴な女性でした。
とてもいい感じの女性でした。でも、たまぁ~にしか話すこともなく。
 
そんな彼女が近づいてきた時、抱えていた紙袋から、リンゴをひとつ取り出し、
 
「委員長、おはよ。これ朝ごはん。はいっ!」
 
とリンゴをひとつ私に向かって放り投げてくれたのですね。
そのリンゴは妙にスローな放物線を描きながら、私はしっかり受け取りました。
 
「サンキュー。」
 
そして私は、そのまま歩きながら袖でリンゴをゴシゴシやって、食べ始めました。
 
ただ、それだけです。
 
そのやりとりに、恋だ愛だの感情もなく、とても清清しく。
それでいて、自分の今していることが何故か無性に報われたような気がした瞬間でした。
 
それ以来、スーパーなどでもふとリンゴを買うことがあります。
部屋に一個転がしておくと、ほのかな甘い香りに包まれて、
そんな想い出を思い出しながら、とても心が洗われる気がするのです。
 
 
P.S
この写真の木製のリンゴですか?
先日「おつかれさま!」って投げてもらいました。
私は、しっかり受けとめました。
 
ひとつの大きな役目を果たした区切りと
       これまで一生懸命でいられた自分へのご褒美です。
 
 

PM 10:20:42