2006年12月6日水曜日

父親たちの星条旗

この映画、基本的には戦争悲劇の映画である。
したがって、「おもしろかった?」って聞かれても、そのまま応えられない。
ただ、是非、観ておくべき映画だと思う。
いつも辛口な感想ばかり思いつく私の性格でも、ごく自然な気持ちで見ることが出来た映画である。
 
話は、第二次世界大戦の硫黄島での悲壮な戦いに端を発する。
まぁ、まだ上映中だからネタバレを避けるために詳しくは書かない。
あえてまだ見ぬ人への注意をお伝えするとすれば、
とてもヨーロッパでは上映できないであろうシーンがある。
戦闘シーンは、プライベート・ライアンやスターリングラードに勝るとも劣らない。
日本人が手榴弾で自決した後の人間のぐちゃぐちゃな死体さえも出てくる。
それらを残酷なシーンと言い放つのは簡単であろうが、
もし戦争というものを正確に客観的に表現しようとすれば、
その戦争の悲惨さを伝えるためには、避けて通れないシーンであろう。
 
またこの映画、硫黄島で撮影された写真から、忠実にシーンが作られている映画とも聞く。
正直言って、私は第二次大戦の硫黄島での戦いが壮絶だったと聞いたことはあるがイメージとして、こんなに大変な状態だったとは、想像以上であった。
そこに参加した戦闘員の数、軍艦の数、使用された銃弾・爆弾の数、、、
きっとそれはあなたの想像以上のはずだ。
 
戦争映画は嫌いだ、という方は、やはりこの映画は合わないであろう。
けれど、戦争というものが最前線では悲壮な戦いがあり、
母国においても、政治家などの駆け引きがあったり、
単に人間と人間が戦うだけでなく、さまざまな隠れた真実・ウソ・葛藤がある事実は、
やはり人類としては、知っておく覚悟が必要であろう。
 
私は、映画「プライベートライアン」が嫌いな人間の一人である。
戦いの中で英雄が生まれ、それをたたえるような感動は、戦争映画の中で得たくは無い。
そういう意味では、この映画は、戦争という状況の中では、
決して英雄は生まれない、などという意義が現れていることが、
私を映画の中に自然に引きずり込んでくれた。
 
まだまだ書きたいことがいっぱいありそうだけれど、ネタバレになりそうなので。
この映画、二部作の1本目の映画である。
硫黄島での悲惨な戦いを米国側からと日本側からと2本続けて上映される。
2本とも監督がクイントイーストウッドであれば、
きっと両側の状況の整合も取れていよう。
二本目次回作「硫黄島からの手紙」も期待してやまない。
公式HPは、こちら。(は、もうありませんでした。)
 
P.S
参考までにパンフ記事から、ちょっと、、、
何故、ここまで米国は硫黄島が必要だったのか?
何故、日本も壮絶なまでもこの硫黄島を守りきらねばならなかったのか?
それは、米国にとっては、日本本土爆撃のためのB29の基地として必要だったのだ。
それまでは、遥か南方のサイパンなどからの発進だった。
そして、硫黄島は、日本とサイパンのちょうど半分の場所に位置する。
ここに基地が出来れば、日本本土上空で傷付いたB29の大半が
海上に消えることなくここで不時着できる。
また、B29を援護すべく小型戦闘機もここから発進できるのだ。
硫黄島での戦死者は、日本人が約2万人、米国側が約6800人。
負傷者を合わせれば、米国人の犠牲者の方が日本人のその数より上回った戦いだった。
 
PM 06:54:35