2022年12月15日木曜日

その日のまえに

その日のまえに

 重松清著

「その日」というのは、「人生の最期の日」のことである。

7編の短編で構成され、最後の3編が

「その日のまえに」
「その日」
「その日のあとで」

前半の短編は、そのスピンオフにあたる。

# ってかなりネタバレか?
# いや、知っていた方がいいと思う。

それぞれがガンであることを知り、その日に向かっての本人や周りの人たちとの出来事・想いの小説である。

現実を受け入れながらも、葛藤と闘いながらも、その日に至るまで明るく生きようとしている姿に胸を打たれる。

自分なら、自分の境遇なら、その日までに何を成そうとするのか。

そんな覚悟を投げかけてくれるような気がしてならない。

お涙頂戴的な小説という人もいるだろうが、いつか必ず来るであろう自分自身の「その日」の為に

何かを示唆してくれていそうな小説である。

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「……じょうぶな子に産んでやれんで、すまんかった」

神さまよりも人間のほうが、ずっと優しい。

神さまは涙を流すのだろうか。

涙を流してしまう人間の気持ちを、神さまはほんとうにわかってくれているのだろうか。

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神さまは、なぜ人をガンにして命を奪うのか。

本当に私もわからない。


P.S

その日のその時の情景には、私も涙が我慢できなかった。

が、ちょうどその部分を読んでいるその時、仕事の電話がかかってきた。

「なんで今なの?」

神さまは私にもわずかに意地悪だ。

けれど、、、いつもわずかであってほしい、そう願わざるを得ない。