2007年2月20日火曜日

弔辞

にいちゃんよ、オレ達、27年の付き合いなんだって。
オレの方が年上なのに、なんでアンタのことをにいちゃんと呼ぶようになったかも、もう思い出せないや。

初めて会った時が、前の会社の入社試験の面接の日で、ビルの1階のエレベーターホールで、行き先に不安を感じながらも一緒にエレベーターに乗った時だったもんねぇ。
あれから27年なんだって。
 
それからというものオレと仕事人生ほぼイコールだもんなぁ。
今の支店、小さなワンルームマンションで二人っきりで始めた時、
次の社員が増えるまでの結構長い間、来る日も来る日も二人だけで黙々と仕事してたよなぁ。
一日中二人っきりで、何を話していたんだろう。
今から思うと、とても不思議だけれど、あまりにも普通で過ごしていたから、思い出せないことも多いや。
 
しかし、にいちゃんの仕事は、ほんと正確だったもんなぁ。
オレの好き勝手なやり方に、どんなつまらないことも単調なことも本当に正確に黙々とやりこなしてくれた。
たまにグチのようなものも聞かされたけれど、
それは、ほんとうに的を得ていて、そうなってしまったことの反省をつくづく感じてたよ。
 
だから、いつもオレは、にいちゃんのグチを聞かないように一生懸命だった。
でもそれが、ボクらの仕事の効率や能率・能力の向上へ導くことになったはずだ。
量産品を作っている時なんかも、いっぱい同じものを作るんだもの、事故も必ず発生する。
でも、もうそんなの隠そうとせずに、
二人で必ずそれの再発防止処置を考えるようになったクセがついたのもいつからだろう。
必ず放っておかないで何かをしよう、何かを工夫しようっていつも話し合ったもんなぁ。
 
今回のにいちゃんの癌を聞いて、そのまま通り過ぎるわけにはいかない、何かしなきゃ、
そう思って、オレとシンちゃんは、マーカー検査したから。
でも二人とも異常ないって結果だったから。
きっと良かったって言ってくれるだろ?
 
まぁ、オレのこと、にいちゃんは全部知っていたから、改めて話すことはなかろう。
でもさ、ひとつだけ文句言わせろ。
オレの方が年上なんだから、先に逝くなよ。順番ぐらい守って欲しかったぞ。
 
こんな弔辞でゴメンな。オレ、おまえの弔辞読むなんて考えてもみなかったから。
最後に、ありがとう。ほんとうにありがとう。
オレの仕事人生今まで付き合ってくれて本当にありがとう。
平成19年2月20日
 
P.S
下書きが残っていたので、あえてここに載せた。
最後までちゃんと読もうと思ったけれど、
やっぱ、ダメだった。
 
でも、私は信じている。
死ぬって、ほら、よくクイズに答えて正解すると、
イチ抜けして、部屋から出て行く、そんなものなんでしょ?
 
いつか、ボクも正解して、この部屋を出た時に
次の部屋で、先に行った人たちが待っててくれてたりするんでしょ?
 
私は、そう信じ続けている。
 
 
 
AM 12:12:04