2023年6月2日金曜日

恋する魔女

恋する魔女

 立原えりか著

ちょっと前に「図書室の海」(恩田陸)を読んで、
その短編集の中に「国境の南」という物語があって、

「ん?この物語、知ってるぞ。」
 
とすぐに思い出せたのである。

そう、喫茶店のウェイトレスが、水差しの中にヒ素を忍ばせて客に注ぐ物語である。

# ま、彼女に興味を持った人間ほど、ヒ素の摂取量が増えてしまうというコワいお話でありました。

その物語の載っているのが、この「恋する魔女」
構成は、短編集である。
発刊は、1966年ということだけれど、私はたぶん高校生の時に読んだ。

当時、「詩とメルヘン」なる雑誌があって、
その中で、たびたび出てくる「立原えりか」なる作家を知ったのである。

高校生の私は、実にロマンチストであり、

# いや、今も。

私の“推し”となり、立原えりか著の本は、今も結構本棚に並んでいる。

立原えりかの作品は、言わばメルヘン調であって、とてもロマンチックな作品ばかりである。

その作者が、いわゆる殺人モノを書いたということであるけれど、
物語は、やはり女性目線からのロマンチック(?)なものであって、
まぁ軽く楽しく読める内容になっている。

今読み返してみると、結構、女性のホンネをザバッと書かれたりもしているけれど、
当時高校生だった私には、「ふぅ~ん。」てなものだったんだろうな。

ただ、この物語をすぐに思い出せたのは、
やはり読んだ当時にかなり強烈に脳に刻み込まれたんだろうな。
高校生にとっては、印象的な内容だったのかもしれない。

ってか、若い頃に読んだ小説は、記憶に残りやすいのかなぁ。

しかし、たったひとつショックな記述が、、、

喫茶店でヒ素入りのお水で殺されてしまったひとり「おとしより」が、実は67歳であったこと。

40年前は、やはり65歳過ぎた人間は、「おとしより」だったんだなぁ、、、と、つくづく。

複雑な気持ちである。



P.S

やはり、懐かしくなっちゃったので、、、

片っ端から読み返すかぁ“立原えりかシリーズ”。

うん、荒んだ心の浄化には、とてもいいような気がしますし。