2023年3月14日火曜日

TOMORROW 明日

1988年公開の作品。
 
黒木和雄監督の戦争レクイエム三部作の第1作目。
 
# ちなみに
# 3作目は、「父と暮せば」
# まったく逆順に観てしまったな。
 
この物語、長崎での昭和20年8月9日午前11時02分までの24時間を描く。
 
広島に新型爆弾が落ちたことは知っていても、
明日、まさか自分たちの頭上に2発目の原爆が落ちてくるとは露も知らず、人々はごくごく普通に過ごしている。
 
結婚式を行う家族、夜通し痛みに耐え出産する妊婦、
召集令状が届き、駆け落ちに迷うカップル。
捕虜収容所の外国人の為に食料を求め、医者を探して奔走する軍人。
 
ご時世がこうなら仕方がないよね、とあらゆることに我慢しながら
明日がいつものように来ることを全く疑うことなく日々を過ごし、
明日の約束をし、今を過ごす。
 
が、その時間、その瞬間、すべてが消え去る。
悩み、喜び、約束する行為自体が、一瞬で無になる。
 
そうなることを知っている私たちは、
その行動・活動の不毛さが、見ていてあまりにも痛々しい。
迷うことも、痛みに耐えることも、たとえ生活が平凡であっても、
それは、明日の存在が約束されていることが前提なのだ。
 
物語は、まったくごく普通の生活を見せつけられる。
けれど、それが全く普通であることが、余計に哀しく思える。
 
まさしく、これは戦争映画であり、反戦映画でありました。
 
 
P.S
 
なにか他人ごとではないような気がしないでもない今日この頃。
 
けれど、生きねばならぬ。今を精一杯生きねばならぬ。
 
ただただ明日の存在を信じて。