2006年5月23日火曜日

親愛なるキキによせて、、、



 

 

 

君は、知っていただろうか。
魔女は13歳の一時期に魔法を使えなくなってしまうことを。
そして、それにあわせて、まだ小さな少女であるにもかかわらず、
ひとり知らない街で1年間暮らさなければいけない慣習が、
魔女にとって、人間と共存するための重要な試練であることを。
 
魔女はね、みんな13歳の時に一度魔法が使えなくなってしまうんだよ。
ほんとうの人間と同じ体に戻ってしまうんだ。
でもその時、魔女は、みんな気がつかなければいけないんだよ。
今まで、人間と比べてどんなに恵まれていたかってことを。
そして、魔法がなくてもちゃんと生きている人間達の気持ちを
文字どおり体験して、もし魔法がなくてもちゃんと生きていく術を
この時に手にいれなければいけないんだ。
誰も魔女仲間の助けを借りずにね。
 
多分それは、魔女の世界では、
決して口外してはならない決まりであったのかもしれない。
だからこそ、ひとつの町に魔女は一人だけなんて決めたのかも知れないね。
お母さんでさえも13歳の時に同じ経験をしたんだよ。
おばあさんも言っていたね。
お母さんが空から降りてきた時は、ちょっと生意気そうだったって。
でもきっとその一年を通したからこそ、
あんなに優しいお母さんになれたのかも知れない。
旅立ち夜、空で出会ったあの女の子でさえ
必死で占いの術を手にいれたのかも知れないよ。
だって、とっても自信に満ちていたもの。
 
魔法が使えなくなる期間は、ほんとはもっと長かったのかもしれないけど
君は友達を助けるという気持ちで、それを克服してしまったんだ。
魔女は血で飛ぶなんてお母さんは言っていたけれど、
君は、その血をコントロールできてしまったんだ。

でもぼくは、少し心配しています。
人間の気持ちがほんとうに理解できる前に
魔女に戻ってしまったのではないかってことを。
みんなの前で人の命を救って有名になってしまったことが、
君にとって、ほんとうに良かったんだろうかって。

でも、君のことだから安心しています。
普通の人間よりもすばらしい能力を身につけた君達が僕らと一緒に生き
僕らの生活を助けてくれること。
とってもすてきな世界だと思います。


君らに負けないように、僕らもがんばりたいと思っています。

 

PM 07:41:02