奥田英朗 作
本屋大賞のリストを眺めていたら、過去に2位を受賞していて思わず手に取った。
上下巻2冊からなり、東京編と沖縄編とからなる。
主役は、小学校6年生の二郎。
東京ではイマイチうだつの上がらない元過激派の父でありながらも、
沖縄に引っ越した途端にその父は活き活きと活動し始める。
そして、そんな父に翻弄されながらも、やがて家族の絆も生まれ、二郎もその父を理解しつつ成長してゆく物語である。
ただ、上下巻2冊に及ぶ長編でありながらも、振り返ってみれば、
二郎が小学6年生の間に起こった出来事であれば、その物語の時間軸は短かそうだ。
ただ私には、人生を一人称で生きるか、二人称で生きるか、もしくは、全く三人称で生きるかを問われているように思えた。
一人称で生きるには、強い意志と行動力がなければ生きていけない。
二人称で生きて行くには、きっと我慢と忍耐ばかりが必要になろう。
三人称で生きて行くのは、、、そもそも考えたくないな。
二郎も最初は三人称的立場と観方で生きていたものの、父に振り回され二人称的生き方を強いられながらも
やがて一人称的生き方へと成長していったように思えてならない。
そんな父の子の育て方は、とてもマネできるようなものではなかったけれど、
父は、それが本当に良かったのだろうか。
二郎は、それで本当に良かったのだろうか。
そんな思いも残らぬわけではなかった。
文章は、まるで映像を見ているように流れて、あっという間に読めてしまった。
本屋大賞受賞の理由がなんとなく納得できた。
P.S
映画化もされていたのですね。知らなかった。
キャスティングを見る限り、各々の役が妙に合っているような気がして、
いつか観てみたいと思ったけれど、やっぱ原作を読んだ後はガッカリするかなぁ。
ちょっと時間を空けてから見ようと思います。