サン・ピエトロ寺院では、まずクーポラに登ろうとした。
どちらかと言えば、美術よりも眺めが好きなのである。
が、私は、高所恐怖症でもある。されど理性もつおい。
やっぱ登らないわけにはいかないであろう。
なんのボルゲーゼの気球よりは、どうってことなかろう、、、通常の判断である。
チケット売り場を通り、エレベータに乗る。
なぁーんだ、エレベータで行けるんなら全然怖くないじゃんさ。
けど、不思議だった。なんでクーポラの上までエレベータで行けるン?
案の定、エレベータから降りたのは、まだ壁の中で、窓の無い一方通行の通路を歩かされる。
す、すると突然、クーポラの中の壁沿いの道に出た。
「うっそぉ!」マジ、一瞬たじろいだ。
たぶん今までの私の人生での最大の恐怖である。
「なに?こんなとこ歩けってか?」
こんなところを恐れもなく歩ける人間は、恐怖という本能を欠損してしまった人間である。
私はそう思う。
狭い通路である。一方通行である。後ろから押されるまま、とんでもなく高い壁際の通路を歩くことになった。
「早く行ってくれぇ!」「んなところで写真撮ってンなよぉ!」
本能を欠損してしまっている人間に、私の願いは届かない。
無理やり止まらされ、怖さを隠して上ばかり見る。
「下なんか見れねーよ。」
で、心を紛らすために上方の写真を撮った。
(写真上)
ま、同じ目の高さも何とか見れる。
(写真中)
意を決して下方も撮る。マジ決死とはこのことを言う。
(写真下)
おかげで頂上に着いた時、高所の恐怖は、無くなっていて、遥か遠方の眺めは充分に楽しめました。
やっぱ、頂上の方が怖くないよ。
頂上からの眺めは、また今度。
P.S
しかし、こういう建物は、どうやって作るわけ?
クーポラの中壁のフレスコ画なんかどうやって描いた訳?
遥か昔において、既に人間の本能が欠損していたことを充分に実感した。
PM 11:23:57