先日、原作を読んで、それが映画化されていることを知って
そのキャストに「ん?おもしろいかも」なんて思ったことがいけない。
原作がとても映像感があって、それの映画化となれば、ちょっと見てみたいかも、と選んだものの、
やはり失望感が隠せない。
百聞は一見に如かず、と、原作ならば細かく文章で作るイメージが、
実写化ならば、その役者のイメージや景色は、そのままで表現できるはずと思いながらも、
文章でイメージしていたものを見慣れた俳優で演じられてもその乖離感はどうしても大きくなる。
# そりゃ仕方がないよねぇ。
そもそもやっぱ長編小説を2時間で収ようとすることにムリがある。
長編全体の物語の流れは網羅しているものの、細かい設定、行動、人物が欠落してしまっているのが残念なのは、原作を知っているが故か。
映画の製作者も原作が面白いと思って映画化しようとするのだろうけれど、
あまりにもいろいろ削ぎ落されていて、もはや原作のあらすじ感しか得られないのは、仕方がないのかなぁ。
映画を見れば、物語の全体像は把握できるかもしれないけれど、本来の小説サウスバウンドの面白さは伝わってこないような気がしてならない。
この映画を見て、原作を読みたい気になるのだろうか?
そんな気がして、ちょっと残念であった。
P.S
原作と映画との大きな差を感じた作品であったけれど、
遥か昔の若い頃は、映画作品を観てから、原作を読み直すことが多かった気がする。
それは、若さゆえだったのだろうか?
「人間の証明」や「犬神家の一族」なんかは、映画を観てから原作を読んだけれど、
歳を取って、私の映画や本の読み方が変わってしまったのだろうか?
そんなことを思ったりもする。