たぶん、人には、いろいろな人がいるわけだから
その価値観によって、この映画に対する感想は、さまざまであり、また、大きく異なるに違いない。
# ネタバレになっちゃうかもしれないけれど、、、
まず、この映画は、健康人の論理かもしれない。
けれど、私は、それを否定しない。
また、逆に言えば、健康人な時に、病気になったときのことを想定し
それについて考えることも、また大切なことだとも思うから。
そういう意味では、この映画は、あくまでも生き方・逝き方のサンプルとして観ればいいと思う。
これが、いいとか、いけないとかの議論ではなく、
こういうやり方もあるのだ、という観かたが必要であろうと思う。
ただ、そのサンプルとしては、あまりにも出来すぎている環境が私にはまぶしい。
妻・息子・娘の上出来過ぎるほどの家族。どこまでも本音を話せる兄。
よく出来た愛人までもいる。
この主役、幸せ過ぎる環境にあると思えるのは、私のヒガミだろうか?
もっとも、自分の死んだ後の家族の先のことを考えるに
まだお金が足りないような、この若さで逝かなければならないのが
この男の最大の悲劇であろう。
が、死を目前にして、様々なことを整理しておきたい気持ちも充分わかるし
残されたものの為に考えを尽くしておかなければならないのも、人生の責任の取り方であろう。
そういう意味では、この映画、とても最上級な上品的思考のストーリーのサンプルであった。
こんな死に方が羨ましいとも思った。が、
きっと私は、こんな死に方は出来ないだろう、とも思った。
また、複雑な思いにもかられた。
大事故などで、死期というのは、一瞬で通り越した方が楽でいいのか?
それとも苦しみながらも、戦いながらも、惜しむべき死期というのは必要なのか?
また、私は、わけがわからなくなったりする。
お奨めかどうかは聞かないでください。
P.S
人は、訳もわからずこの世に生まれ出て、
生まれた時に、一つの人生を手渡される。
少なくとも人の数だけ、人生には種類があって、
同時に、人の数だけ、最期の死がある。
手渡された人生をどのように彩っても、自分の勝手だけれど、
その分、人の数だけ、その死に方もあるわけで。
せめて、死に方も自分で選びたい、
そう思えるような人になりたい。